洛西からの一読

今回のテーマは「まほう」
「もし、魔法がつかえたら・・・」と考えた事ありますか?魔法は、不可能を可能に変える最強アイテム。思いのままに願いがかなうことに憧れます。しかし、彼らたちにとって本当に頼りになるアイテムは何だったのでしょうか?じっくりと考えさせられる作品です。
クラバート
プロイスラー・著 中村浩三・訳 偕成社

ドイツに古くから伝わっている「クラバート伝説」を基にプロイスラーが自分の「クラバート」を構成し長編小説を書きあげました。孤児、浮浪児のクラバートが夢のお告げに導かれ水車場にたどり着き、水車場の職人見習いの生活が始まります。ところが、親方は魔法使いで、クラバートは魔法使いの弟子としての修行も始まったのです。毎年一人の弟子がいなくなり、新しい弟子が一人入ってくるようです。見習いの生活は厳しく、時にはくじけそうになるのですが、そのつどクラバートに不思議と力が湧いてくるのでした。やがて、クラバートが成長し、邪悪な親方との戦いの日がやってきます。
この作品は、クラバートの成長の過程で人として何が大切で、どうやって生きていくべきかを、教えてくれています。人生を誠実に考えてみる時に読んでみたい一冊です。
魔女の宅急便
角野栄子 作 林明子 絵 福音館書店

魔女の子キキは、10歳で魔女になると決め。13歳で魔女修業に出ることになりました。魔女のいない土地を選び、そこで自分の魔法を生かしながら一年間暮らすという課題が与えられるのです。このお話は、キキが魔女アイテムの空飛ぶほうきにまたがり、黒猫ジジを相棒に、生まれ育った町から旅立つところから始まります。
キキが使える魔法はたったひとつ空を飛べること。この力を使って思いついたのが物を届ける仕事です。魔女に慣れていない町の人たちは、恐ろしいものが来たように思っていたのですが、キキの仕事ぶりを見ていくうちに誤解も薄れ、仕事もはやるようになってきました。あっという間に一年が過ぎ里帰りをするところでこのお話は終わっています。がこの後、「キキと新しい魔法」「キキともう一人の魔女」「キキの恋」「魔法のとまり木」「それぞれの旅立ち」でシリーズが完結します。完結まで24年の歳月をかけてキキの成長が描かれています。読者もキキと同じように成長しているように思えます。全シリーズ読んでみてはいかがでしょうか。
洛西からの一読(令和3年1月)PDF326KB.pdf